この本は、「水曜日のダウンタウン」や年末特番の「クイズ正解は1年後」といった特色があり話題となる番組のプロデューサーである藤井健太郎氏の著書だ。
私の既刊の『お笑い分析 中級』でもこの藤井氏を取り上げたが、彼は、今現在放送後に常にSNSでトレンドに上る「水曜日のダウンタウン」のプロデューサーというだけあって、その番組作りの仕組みが大いに気になる存在だ。
著書は『悪意とこだわりの演出術』という名の通り、どの番組制作に対しても、藤井氏の悪意とこだわりが感じられる作りになっていることが、本人の語る内容からも覗える。
全体の内容としては、藤井氏の担当した各番組についてのそれぞれのこだわりや、彼の仕事での工夫やこだわりが書かれている。
藤井氏は、「水曜日のダウンタウン」にてVTRを制作してそれをダウンタウンに見せて反応を得ているので、ある意味でダウンタウンに「笑い」で勝負をしているわけだが、やはり天下のダウンタウンに対峙しているだけあって、その大変さと細かい部分までの工夫を感じられる記述となっている。
ダウンタウンに長年間近で接している彼だからこそわかることも書かれており、お笑い芸人のキングのダウンタウンと仕事をしている彼をうらやましく感じた。
「アメトーーク」「ロンドンハーツ」プロデューサーの加地氏の本の記述でもあったが、「ダメならダメなりの見せ方を」という部分には、こちらもネガティブなものを面白いものに変えるプロデューサーとしての力量が覗える。
「水曜日のダウンタウン」や一風変わったお笑いバラエティ番組が好きな人にはぜひおススメの本である。
読んで頂きありがとうございました。
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