お笑いの分析・考察(by やましたゆうと)

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【お笑い】『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』ラリー遠田 著の書評

とんねるずと『めちゃイケ』の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論 (イースト新書)

 この本は、お笑いライターであり過去にはテレビ制作会社で働いていたラリー遠田氏が書いたものである。

全体の感想としては、やはりなるほどと思う。

業界関係者であるお笑いライターならではの視点。内容構成としては、時代の流れに沿って、古くからあるバラエティ番組から分析していく流れだ。

第一章「なぜ、『みなさん』『めちゃイケ』の時代は終わったのか」と第二章「なぜ、フジテレビは低迷しているのか」では、フジテレビと日本テレビなどの比較から、王道バラエティの凋落の理由が納得できる形で述べられている。

日本の景気動向や時代の移り変わりに合わせてということなのだろうが、私としては、めちゃイケは特に好きだったため、無くなったのは残念だし、今でも復活してもらいたいと思っている。

また、めちゃイケのような番組が終わったからといって、それを上回るような番組が出てきているようには思えない。

また、本書全体を通して考えても、フジテレビのバラエティが時代に合わなくなったというのかもしれないが、YouTuberの「東海オンエア」など、王道バラエティを真似したような動画がマスに受けているということからも、フジテレビは王道バラエティを復活させた方がいいのではないかと考えるに至る内容であった。

第三章以降では、現在のトレンドを分析している。第五章「なぜ、視聴者は有吉とマツコから目を離せないのか」では、マツコ・デラックス有吉弘行がなぜ受けているのかの解説が書かれている。

マツコさんや有吉さんは、現在の視聴者目線のままテレビに出ているというのところにとても共感できる。

私としては、マツコさんや有吉さんが売れている理由は、多くの人の本音を割とテレビで言ってくれるからだろうと思う。

この著書の読後感としては、新たな発見と納得感を感じられる。私がただ面白く見ていためちゃイケを、この著書を読み「ドキュメンタリー形式」だと初めて理解したというのも含め、平成のバラエティ番組が好きだった読者にこの著書の一読をおススメする。

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