お笑いの分析・考察(by やましたゆうと)

お笑いの技術考。事務所無所属。お問合わせ:yamashitayuto.octopus@gmail.com

【お笑い】緊張を緩和し笑わせるための「笑わせる刺激」 ~ボケ・ツッコミ、フリ・オチに要素を当てはめて~  

 

緊張を緩和し笑わせる方法

⇨緊張を緩和させるため、「笑わせる刺激」を伝えること。

「笑わせる刺激」とは、
「相手がその場では気づいていないであろう、気づかされると意外性や納得感があり、かつ安心感や優越感を感じられるような言葉や動き」
という刺激であり、この刺激をボケ・ツッコミ等に入れてあるものが芸人のネタである。

この、「笑わせる刺激」を相手に伝えることにより、相手の緊張を緩和し、笑わせられる。その際に、伝える側は相手に安心感を持ってもらえる伝え手や伝え方でないと、相手の緊張感・不安感が消えず相手は笑えない。そのため、安心感を与えるような伝え手・伝え方である必要がある。

また、緊張が緩和するというのは、
人の身体では、交感神経優位な状態から副交感神経優位な状態になるということです。

緊張を緩和する笑いの作り方

笑わせる側は、笑いを届けるために、場面に合わせこの「笑わせる刺激」をあらかじめ作り準備しておくということです。

刺激を受けた相手が「安心感や優越感、驚き」を持つ「笑わせる刺激」を作りましょう。

※目指す状態としては、

普通の状態や不安な状態の相手(緊張状態)
 ↓
 ↓「笑わせる刺激」を与える
 ↓
安心感や優越感が増えた状態の相手(緩和状態)

にするという、相手の「緊張が緩和」=「笑いの発生」にするということです。

ボケとツッコミを使い「笑わせる刺激」を作る方法

【前半部分】
「相手がその場では気づいていないであろう意外性」(①)
をボケの段階に仕込み、

【後半部分】
「納得感があり、かつ安心感や優越感を感じられるような言葉や動き」(②)
をツッコミの段階に仕込んで、

【前後半合体】
「相手がその場では気づいていないであろう意外性と納得感があり、かつ安心感や優越感を感じられるような言葉や動き」(①+②)の「笑わせる刺激」のセットを作ります。

これをボケとツッコミに仕込むには、

【ボケ】(前半部分)
あえて緊張感やズレを感じさせる「相手がその場では気づいていないであろう意外性」(①)を持つ言葉や動きを先に提示    
     ↓
【ツッコミ】(後半部分)
ボケによるズレに対し「納得感があり、かつ安心感や優越感を感じられるような言葉や動き」(②)を感じさせるよう、ズレを修正するフレーズや動きの追加

をすることで、「笑わせる刺激」(①+②)の入った、ボケ+ツッコミのセットとなります。

フリとオチという言葉に当てはめると

【フリ】(前半部分)
「相手がその場では気づいていないであろう意外性」(①)を表すための設定
     ↓
【オチ】(後半部分)
「納得感があり、かつ安心感や優越感を感じられるような言葉や動き」(②)を感じさせるよう、フレーズや動きの追加で完結

というフリ+オチのセットを作るということです。

漫才やコント、フリートークに当てはめると

漫才やコント、フリートークというお笑いの各形式に
「笑わせる刺激」が入り込んでいるということです。

話や動きの展開の構造上に、「笑わせる刺激」(ボケ・ツッコミ・フリ・オチによるセット)を含んだ言葉や動きを肉付けすることにより、漫才やコント、フリートークが完成されますね。

漫才やコント、フリートークでは、芸人のネタでの多くの場合、話や動きの構造上にフリやボケや伏線をいくつも仕込んでおき、適宜ツッコむことや伏線を回収し、最後にオチをつけるという方法で、それぞれの展開が作られていますね。

話の展開の組み合わせや「笑わせる刺激」の入れ込みを工夫することで、新しいものが作れそうですね。

相手が思い込む流れを気持ちよく裏切ることや、普段は気づいていないことを鋭く突くような言葉や動きの展開は、観る者を喜ばせる笑いのコンテンツとなりますね。

参考文献:

https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_view_main_item_detail&item_id=18621&item_no=1&page_id=13&block_id=21