お笑いの分析・考察(by やましたゆうと)

お笑いの技術考。事務所無所属。お問合わせ:yamashitayuto.octopus@gmail.com

【お笑い】『「笑い」の解剖:経済学者が解く50の疑問』中島隆信 著の書評

「笑い」の解剖:経済学者が解く50の疑問中島 隆信

 この本は、慶應大学の経済学者が書いた「笑い」を分析した本である。

「笑い」に関する学術書の中では最も見やすく、わかりやすい内容であろう。

私は、他の本を読んでいても、「本当だろうか?」と疑問に思っていた部分も、この本では解決した。

「笑い」に関する諸説を取り上げ、それが上手にまとまっており、今までのもろもろの理論の中から、妥当そうなものを理解できる。

また、以前に取り上げた、小林亮『科学で読み解く笑いの方程式』上下巻(欲求神経学研究センター、2018年)と一緒に読むことで、よりアカデミックに「笑い」の発生の仕組みを理解できるでしょう。

また、「笑い」が健康に役立つのかといった疑問にも答えており、笑える状態についても書かれている。

全体の構成としては、「笑い」の発生の理論を研究した部分、身近な笑い、笑いのビジネスの総論、落語、漫才とコント、その他ものまねや、笑いと健康についてと、多岐にわたり網羅的に「笑い」に関して述べられており、本書を読めば、「笑い」について一望できる。

 

「笑い」の解剖:経済学者が解く50の疑問中島 隆信

「笑い」の解剖:経済学者が解く50の疑問中島 隆信

  • 作者:中島 隆信
  • 発売日: 2019/09/06
  • メディア: 単行本

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【お笑い】『お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ50の法則』有吉弘行 著の書評

お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ50の法則

 この本は、今や司会者となった人気芸人、有吉弘行さんの書いた本だが、苦しい時に参考になる本である。

私は辛い時期に参考になり、心が一旦軽くなった。

内容構成としては、「栄光からの転落」の法則、「どん底生活」の法則、「地獄で発見」の法則、「プロ一発屋」の法則、「現代人へ贈る」法則という、全部で50の「法則」という形の構成である。

これは、有吉さんのブームとなった時の生活から売れない時期を経て、復活の時系列に、逐一法則を載せたものである。

みんな辛い時期はある。辛い時期には、人の辛い話を聞いても直らないばかりか、人の辛い時の話まで追加で聞きたくなんかないかもしれない。

しかし、この有吉さんの文章は、何かそんなどん底にいる時に希望が持てる文章だ。

どん底生活からの地獄で見えてきたものとしての、「「逃げ道」を作っておくのって大事ですよね」や小見出しの「努力なんかしても無駄なときに努力しようとするヤツは馬鹿だ!!」の項が特に参考になる。

そこには、「努力するなら、仕事があるうちになんとかしといたほうがいいと思います。」とあるが、これに関しては、私の実体験からも言える。

仕事での努力を見せる機会もなければ、なかなか努力・辛さが報われない。

今、この書評を書く際に、有吉さんのどん底生活を読み返すと心が少し辛くなったが、しかし今の画面越しでのイキイキしている有吉さんを見ればそんな気分も吹き飛ぶ。

そんな「地獄」からの、後の章にあるような学んだ教訓は読者に刺さる。

後に上手くいったからこそ、有吉さんの著書になっているのだろうが、他の芸人の著書でもあるように、苦しい時を超えると、誰にもいい時期が待っているのかもしれない。

 

 

【お笑い】M-1グランプリで優勝するには?


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 今日は、M-1グランプリで優勝するにはどうしたらいいかを考えてみようと思います。
 まず、今までのM1優勝コンビのネタを考えてみようと思います。
今までの優勝コンビや上位になったコンビでは、大きく2つに分かれると思います。
1つは、新しい漫才のひな型(フォーマット)を作ったコンビで、もう1つは上手い漫才をしたコンビです。
例を挙げると、新しいひな型は、ミルクボーイ、ぺこぱ、ジャルジャル、オードリーで、上手い漫才は、霜降り明星、和牛、NON STYLEとろサーモンといったコンビでしょう。
ミルクボーイは説明漫才、ぺこぱは肯定漫才、ジャルジャルは言葉遊び、オードリーはズレ漫才のひな型を作りました。
 この、新しいひな型を作ることか上手い漫才をすることを比べると、優勝やその後の活躍を見ると、漫才の新しいひな型を作っているコンビが、上手く行っているでしょう。
また、優勝する際には、今まであまりテレビに出ていなかった人が、急に優勝することも割とあるように見受けられます。
例を挙げれば、サンドウィッチマンやミルクボーイでしょう。
おそらく、観客が初めて見る漫才だと、新鮮さがあり、受ける要素としてプラスなのでしょう。
テレビで見て慣れてしまっていると、新鮮さは無くなってしまいますね。
そこで、芸人が取る戦略をまとめると、出来るだけ漫才の新しいひな型を作り、上手な漫才をし、そのネタは新鮮なものにするですね。
また、上記に加え、そのコンビだけのオリジナルな売りを作ることも加点になるでしょう。オリジナルな売り要素ができると他コンビと差別化できますね。
どんどん新しいひな型の上手いコンビが出てきて、これからもM-1グランプリが盛り上がるのを期待します!

 

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【お笑い】『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』塙宣之、中村計 著 の書評

言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか (集英社新書)

 こちらは、「ヤホー漫才」でお馴染みのナイツ塙さんの本である。この本では、他の芸人の人とはまた違った、M-1グランプリで優勝できなかった思いや今一歩、大流行とはならないナイツ塙さん自身の思いが書かれた本である。
M-1グランプリでは今や審査員となった現役の漫才師による解説であり、見応えがある。

内容の流れとしては、漫才王国大阪の分析、お笑いの技術についての分析、自分自身についての分析、非関西芸人の分析、今後に向けてといった流れだ。

売れている漫才師はやはり深くかつ多くのことを考えていることがわかるし、また、この本も“お笑い分析”の面白さがわかる。

この本は、お笑いを目指す後輩に道を示してくれているし、また芸人を目指さない人にも、お笑い好きなら面白く読める。

M-1は100メートル走」と表現された、お笑いの技術の章も、なるほどと思うことばかりである。

人気も実力もあるこの塙さんだからこそ書けるこの著書であり、読後感が爽快である。

一読をぜひおススメします。

 

 

【お笑い】すゑひろがりずのお笑い分析


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 今日は、すゑひろがりずのお笑いについて考えようと思います。

すゑひろがりずは、2011年結成、吉本興業所属の向かって左の南條さんと、向かって右の三島さんのコンビです。

2019年M-1グランプリ決勝、2020年R-1ぐらんぷり3位(南條)と近年活躍してきているコンビです。
ネタの特徴は日本の伝統芸能の「狂言」を取り入れたものが特徴です。

左側の南條さんの小鼓の音が、ネタのアクセントとなっていますね。

また、袴姿で伝統芸能の雰囲気を出しているところがお笑い要素の「安心感と逸脱」に当てはまりますね。

古文言葉は、学校で習いたての中高生に受けるため、その年代を笑いのターゲットとしているのでしょう。また、2人とも30代後半と年齢のためか、演技がとても上手いですね。

漫才やコントでは、上手くキャラになりきるのも受ける要素の一つのため、演技力があるのは大きな強みでしょう。

さらに、狂言の完成度が高いように見えるため、お年寄りなど幅広い年齢層に受けているのかもしれません。

漫才、コントのバリエーションや服のバリエーションを増やし、様々な種類の伝統芸能と現代のお笑いの要素を掛け合わせると、もっと面白くなりそうですね。

 

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