お笑いの分析・考察(by やましたゆうと)

お笑いの技術考。事務所無所属。お問合わせ:yamashitayuto.octopus@gmail.com

【お笑い】ティモンディのお笑い分析


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 今日は、ティモンディのお二人について考えてみようと思います。

 ティモンディのお二人は、グレープカンパニー所属、オレンジ色のスーツの背の高い高岸さんと、青色のスーツの前田さんのコンビです。

 そんなティモンディの特徴について考えてみます。

 まず、2人のコンビ結成のキッカケですが、元々高校の友達であったことに加え、東日本大震災を受けてのサンドウィッチマンの復興活動を見てみんなに勇気を与えられる「芸人ってすごい職業だ」と思ったことという、優しい2人らしい優しい理由ですね。

 ティモンディのネタの特徴は、高岸さんの独特の喋り方やキャラクターと、甲子園の強豪校である済美高校の元野球部員のネタです。

 お笑いのお客さんへの受けやすさで言うと、まず2人の「仲の良さ」「性格の良さ」が観客へ親しみやすさを伝え、笑いやすい雰囲気を醸し出しています。

 それから、お笑い法則の「緊張と緩和」では、少し緊張部分が少なく、特に高岸さんの雰囲気から「緩和と緩和」といった雰囲気を持っています。

 別のお笑い理論「安心感と逸脱」という観点からは、安心感たっぷりのため、今の時代の笑いの雰囲気に当に合っていると言えるでしょう。

 陽気な高岸さんに対して、冷静な前田さんがツッコミを入れることで成立していますね。

 令和では、コンビの「仲の良さ」「安心感」が売れる芸人の理由の一つになっているため、安心感をベースとしてちょっと元気で明る過ぎる高岸さんのキャラがその存在だけでほっこりします。

 高岸さんのキャラは、声がゆっくりというだけでなく、「褒める」「やればできる!」と明るくてビタミン人間ですね。

 この記事の最後に、ティモンディのお2人に提案ですが、緊張部分やメリハリをより出すために、前田さんがもっと喜怒哀楽を出すのがいいのではと私は思います。もっとも、元野球部員のネタでは、体育会系の厳しさが「緊張」の部分に当てはまるため、そこをより出していってもいいのかもしれません。

 ティモンディのお2人にこれからももっと活躍してもらいたい!

【お笑い】『科学で読み解く笑いの方程式』上下巻 小林亮 著の書評

科学で読み解く笑いの方程式[上巻]

科学で読み解く笑いの方程式[下巻]

 この本も大いに参考になった本である。

 中身の特徴は、科学的な見地から「笑い」を分析したもので、前出のサンキュータツオ氏のようなネタ分析ではなく、「笑い」そのものに焦点を当てている。

 科学者ということであって、笑いに関する医学論文にまず当たったようだが、あまり論文がないらしく、であればとこの著者が書かれたようだ。

 著者は『記憶の連合理論』を用いており、今後、笑いの研究が進むにつれ事実が明かされていくのだろう。

 科学的な見地での著者の見方は、今までのお笑いの通説を統合するような見方もあり、真実に近づいている雰囲気がある。

 また、笑えない状況との比較が「笑える」状態を明らかにしており、はっとさせられた。

 今後、この著者の言うような、「笑いの方程式」が明かされれば、AIによる「お笑いロボット」のようなものができそうである。

 

読んで頂きありがとうございました。

 

【お笑い】『悪意とこだわりの演出術』藤井健太郎 著の書評

 
悪意とこだわりの演出術

 この本は、「水曜日のダウンタウン」や年末特番の「クイズ正解は1年後」といった特色があり話題となる番組のプロデューサーである藤井健太郎氏の著書だ。

 私の既刊の『お笑い分析 中級』でもこの藤井氏を取り上げたが、彼は、今現在放送後に常にSNSでトレンドに上る「水曜日のダウンタウン」のプロデューサーというだけあって、その番組作りの仕組みが大いに気になる存在だ。

 著書は『悪意とこだわりの演出術』という名の通り、どの番組制作に対しても、藤井氏の悪意とこだわりが感じられる作りになっていることが、本人の語る内容からも覗える。

 全体の内容としては、藤井氏の担当した各番組についてのそれぞれのこだわりや、彼の仕事での工夫やこだわりが書かれている。

 藤井氏は、「水曜日のダウンタウン」にてVTRを制作してそれをダウンタウンに見せて反応を得ているので、ある意味でダウンタウンに「笑い」で勝負をしているわけだが、やはり天下のダウンタウンに対峙しているだけあって、その大変さと細かい部分までの工夫を感じられる記述となっている。

 ダウンタウンに長年間近で接している彼だからこそわかることも書かれており、お笑い芸人のキングのダウンタウンと仕事をしている彼をうらやましく感じた。

 「アメトーーク」「ロンドンハーツ」プロデューサーの加地氏の本の記述でもあったが、「ダメならダメなりの見せ方を」という部分には、こちらもネガティブなものを面白いものに変えるプロデューサーとしての力量が覗える。

 「水曜日のダウンタウン」や一風変わったお笑いバラエティ番組が好きな人にはぜひおススメの本である。

読んで頂きありがとうございました。

悪意とこだわりの演出術

悪意とこだわりの演出術

私の既刊書はこちらです。

【お笑い】ピン芸人よりコンビ、トリオ芸人が売れやすい理由

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今日は、ピン芸人よりコンビ、トリオ芸人が売れやすい理由を考えてみようと思います。

みなさんがよく知る売れてる芸人では、ピン芸人よりも圧倒的にコンビ、トリオ芸人が多いと思います。

その理由は何でしょうか。

ずばり、「引き出しの多さ」と「安心感」ですね。

そもそも笑いが起こる場面では、有名な「緊張と緩和」のように、「緩和」≒「リラックスした状態」になることで笑いが起きます。

最近は特にですが、コンビ、トリオで出てくる芸人は、元々友達であったり、仲の良さが目立っていたりします。

何をするかわからないピンの芸人さんよりも、コンビ、トリオで出てくる芸人のほうが、観客が最初からなんとなく安心感を持って見れるためだと考えられます。

みなさんも笑っているときのことを思い出してみてもらいたいのですが、自分が安心感を持てないと笑えないため、やはりコンビ、トリオの芸人を笑いやすいと言えるでしょう。

また、ピンの芸人でも、観客が何回か見て慣れていると、こちらもまた「安心感」を持って見れるため、笑えやすいと言えるでしょう。志村けんさん、ハリウッドザコシショウなかやまきんに君などがそれに当てはまりますね。

また、笑いを取るための「引き出しの多さ」は言わずもがなでしょう。

ピンよりもコンビ、トリオのほうが掛け合いがなど多くのことができますね。

また、他で触れていると思いますが、安心感を演出するためにはネタ中に音楽を取り入れるなども有効ですね。

読んで頂きありがとうごさいました。

【お笑い】お笑い理論とトークスキル

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今日は、お笑い理論かつトークスキルの「溜めと発散」について考えてみようと思います。

お笑い理論では、有名な「緊張と緩和」がありますが、似ている考えですね。 

ところで、みなさんは小説は読むでしょうか?

私は、星新一さんなどの短い小説はよく読むのですが、長い作品はあまり読みません。

長い小説では、展開や情景描写が優れているというところもあると思いますが、なんといっても、結末までの「溜め」が強くあるところが長い作品ならではですね。溜めた多くの伏線や、読者の疑問、ネタが一挙に表に出る結末という「発散」。これが重要になってきますね。

同じように、お笑いでも、トーク序盤からのフリである「溜め」からのオチという「発散」。

トーク番組やラジオが得意な芸人さんは、面白い小説と同じように、フリからのオチつまり、「溜め」からの「発散」が面白いですね。

特に私のお気に入りは、松本人志さんとオードリー若林さんです!

読んで頂きありがとうございました。