お笑いの分析・考察(by やましたゆうと)

お笑いの技術考。事務所無所属。お問合わせ:yamashitayuto.octopus@gmail.com

【お笑い】M-1グランプリで優勝するには?


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 今日は、M-1グランプリで優勝するにはどうしたらいいかを考えてみようと思います。
 まず、今までのM1優勝コンビのネタを考えてみようと思います。
今までの優勝コンビや上位になったコンビでは、大きく2つに分かれると思います。
1つは、新しい漫才のひな型(フォーマット)を作ったコンビで、もう1つは上手い漫才をしたコンビです。
例を挙げると、新しいひな型は、ミルクボーイ、ぺこぱ、ジャルジャル、オードリーで、上手い漫才は、霜降り明星、和牛、NON STYLEとろサーモンといったコンビでしょう。
ミルクボーイは説明漫才、ぺこぱは肯定漫才、ジャルジャルは言葉遊び、オードリーはズレ漫才のひな型を作りました。
 この、新しいひな型を作ることか上手い漫才をすることを比べると、優勝やその後の活躍を見ると、漫才の新しいひな型を作っているコンビが、上手く行っているでしょう。
また、優勝する際には、今まであまりテレビに出ていなかった人が、急に優勝することも割とあるように見受けられます。
例を挙げれば、サンドウィッチマンやミルクボーイでしょう。
おそらく、観客が初めて見る漫才だと、新鮮さがあり、受ける要素としてプラスなのでしょう。
テレビで見て慣れてしまっていると、新鮮さは無くなってしまいますね。
そこで、芸人が取る戦略をまとめると、出来るだけ漫才の新しいひな型を作り、上手な漫才をし、そのネタは新鮮なものにするですね。
また、上記に加え、そのコンビだけのオリジナルな売りを作ることも加点になるでしょう。オリジナルな売り要素ができると他コンビと差別化できますね。
どんどん新しいひな型の上手いコンビが出てきて、これからもM-1グランプリが盛り上がるのを期待します!

 

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【お笑い】『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』塙宣之、中村計 著 の書評

言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか (集英社新書)

 こちらは、「ヤホー漫才」でお馴染みのナイツ塙さんの本である。この本では、他の芸人の人とはまた違った、M-1グランプリで優勝できなかった思いや今一歩、大流行とはならないナイツ塙さん自身の思いが書かれた本である。
M-1グランプリでは今や審査員となった現役の漫才師による解説であり、見応えがある。

内容の流れとしては、漫才王国大阪の分析、お笑いの技術についての分析、自分自身についての分析、非関西芸人の分析、今後に向けてといった流れだ。

売れている漫才師はやはり深くかつ多くのことを考えていることがわかるし、また、この本も“お笑い分析”の面白さがわかる。

この本は、お笑いを目指す後輩に道を示してくれているし、また芸人を目指さない人にも、お笑い好きなら面白く読める。

M-1は100メートル走」と表現された、お笑いの技術の章も、なるほどと思うことばかりである。

人気も実力もあるこの塙さんだからこそ書けるこの著書であり、読後感が爽快である。

一読をぜひおススメします。

 

 

【お笑い】すゑひろがりずのお笑い分析


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 今日は、すゑひろがりずのお笑いについて考えようと思います。

すゑひろがりずは、2011年結成、吉本興業所属の向かって左の南條さんと、向かって右の三島さんのコンビです。

2019年M-1グランプリ決勝、2020年R-1ぐらんぷり3位(南條)と近年活躍してきているコンビです。
ネタの特徴は日本の伝統芸能の「狂言」を取り入れたものが特徴です。

左側の南條さんの小鼓の音が、ネタのアクセントとなっていますね。

また、袴姿で伝統芸能の雰囲気を出しているところがお笑い要素の「安心感と逸脱」に当てはまりますね。

古文言葉は、学校で習いたての中高生に受けるため、その年代を笑いのターゲットとしているのでしょう。また、2人とも30代後半と年齢のためか、演技がとても上手いですね。

漫才やコントでは、上手くキャラになりきるのも受ける要素の一つのため、演技力があるのは大きな強みでしょう。

さらに、狂言の完成度が高いように見えるため、お年寄りなど幅広い年齢層に受けているのかもしれません。

漫才、コントのバリエーションや服のバリエーションを増やし、様々な種類の伝統芸能と現代のお笑いの要素を掛け合わせると、もっと面白くなりそうですね。

 

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総合的なお笑いの分析本↓

 

【お笑い】『たくらむ技術』加地倫三 著の書評

たくらむ技術 (新潮新書)

 この本は、「アメトーーク」や「ロンドンハーツ」、「テレビ千鳥」のプロデューサーであるテレビ朝日プロデューサーの加地氏が書いた本である。

本書の内容はバラエティの制作についてであるが、全体の印象としては、お笑い論というより仕事論といった印象で、加地さんのバラエティ番組制作に関する頭の中が見られる。

バカなことに対する真面目さや、人間関係での方法など、普通の会社員にも仕事に応用できそうな部分も多い。単発で面白いものを作れるだけでスゴいが、「アメトーーク」や「ロンドンハーツ」と長い期間面白いものを作り続けるとは、並大抵のことではなく、そこに加地さんの凄さがあると言える。

また、スベるものや面白くないものでも素材として使えるというのは強みであり、加地さんの経験からの工夫と結果だろう。

見出しにある「勝ち続けるために負けておく」や「文句や悪口にこそヒントがある」というところには一見ネガティブに思える部分に勝機を見出しており、それでいて「「イヤな気持ち」は排除する」というあたりに、バランスの良さと成功哲学が伺える。

アメトーーク」や「ロンドンハーツ」が好きな読者にはぜひ一読をおススメする一作だ。

たくらむ技術 (新潮新書)

たくらむ技術 (新潮新書)

  • 作者:加地 倫三
  • 発売日: 2012/12/15
  • メディア: 新書
 

 

私の本↓

【お笑い】『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭 著の書評

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 (文春文庫)

 この本は、みなさんご存知オードリーの若林さんが書いた著書である。
 全体の感想としては、この本は主に、旅行記を装いながら、それにプラスして、社会主義と資本主義のシステムやその文化とそこから感じる若林さんの感情の比較を描いている。

資本主義の生活や仕事の忙しさでの行き詰まり感からキューバなどの旅行先に行った様子が描かれている。

東京圏に住んでいる人は、特に若林さんの感想に共感できる人も多いはずだ。

東京都中央区で生まれ育った、芸人の中では若林さんの性格や育ちだからこそ語れる内容である。

現代の日本の(東京の)生活に生きづらさ・苦しさを感じている人にが読むとピッタりだろう。

人見知りを克服したはずの若林さんが、旅先のロンドンで人見知りを発揮しているあたりは、若林さんは私より年上だが、可愛いく思ってしまう。

本の最後の解説では、Creepy Nutsの松永さんが解説を書いているが、松永さんも共感するように、本当に現代の生活で行き詰まりを感じている人は多いだろうし、私も共感する。

私にも普段思っていたことを若林さんに言ってもらった感があり、私は『ナナメの夕暮れ』とこの著書を読み強く若林さんのファンになったし、リトルトゥース(オードリーのラジオリスナーのこと)になった。

旅行記としても読めるし、現代を生きる人、それから若林ファンにおススメの一作だ。

私の本はこちら↓